泡沫(アストルティア日記)

オンラインゲーム・ドラゴンクエスト10のプレイ日記です。

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書の牢獄

2017.02.24 (Fri)
アスコン(書の牢獄)

アストルティア・プリンセスコンテストに一瞬だけ応募していたネタを、もうちょっと詰めて書いてみました。
…だって150文字じゃぜんぜん足りなかったんですよ!!!
情景描写は某所をもとにしてますが、話の内容は完全に!妄想というか捏造です。
軽くホラーちっく。
そして特にオチはありませんので、それでもよろしければご覧ください。


『書の牢獄』

そこは、ありとあらゆる知識の宝庫。
知識を追求する者の前にのみ開かれる、伝説の書庫。


部屋の中央には、月球儀を模したような、淡い輝きを放つ巨大な照明。
見通せないほど高く吹き抜けになっている中央の天井からは、数十本の黄金色の鎖が垂れ下がっている。
月球儀の輝きを受けて煌くそれらと、鎖のところどころに繋がれているランプが、一種幻想的な雰囲気を醸し出す。
どこから投影されているのか、部屋を飛び回る無数の蝶の幻影も、その一因だろう。
だがそれらよりもなお見る者を圧倒するのが、その蔵書量。
吹き抜けから上へと目をやると、壁と言う壁全てが本棚で埋め尽くされている。
一冊でも多く収納するためか、ここより上の各階への移動手段は梯子のみ。
それが、遥か上方まで続いているように見える。

いったいどれだけの年月をかけたら、これだけの書が集まるのだろう。
そしていったい、どれだけの時間をかけたら、全て読破できるのだろうか。
もはや想像できる域を超えている。
感嘆とも、諦めともつかぬため息をそっとつきながら、すぐ近くの本棚へ歩み寄る。
そして、最初に目に付いた本を手に取った。


言い伝えによれば、そこへ足を踏み入れて帰って来た者はいないと言う。
そこは、尽きぬ知識の宝庫。
その膨大な知識は、見る者の記憶を全て書の物に塗りつぶすほど。
それに耐え切れず心が壊れた者は、書庫の一部として永遠に在るという…。


まことしやかに街で囁かれていたそんな話を、魔女は気にも留めていなかった。
「帰って来た者がいない」のが事実ならば、
なぜ、伝説の書庫の噂が流れ、こうして実在しているというのだろうか。
時の流れが止まったかのように静かな、優美なる空間。
…この場所を他人に知られたくない先人たちの虚言だろうと、そう結論付けた。


噂には続きがある。
曰く、人が記憶できる量には限界がある。
だからこそ、そこで書を読み耽る者は、徐々に『余分なもの』を削っていく。

少しでも多く知れるように。
少しでも多く記憶できるように。

まずは、自分のこれまでの記憶を。
次に、自分の様々な感情を。
記憶すればいいだけなのだから、耳はいらない。
この場で語ることはないだろうから、口もいらない。
項を捲る手も、項を読むための目も、そもそも不要。
探し回るための足も。
体全て、そもそも生きていること自体が、ここでは必要のないことだった。
知りたいこと、知るべきことは全部、書の方から教えてくれるから。

…そうして『人』としての機能を全て削ぎ落として、やがて知識を綴るための魂となる。
館内を飛び回る光の蝶は、その成れの果て。

何かの折に。
そう、たとえば誰かがやって来た時に開いた扉から、稀に蝶は外へ出て行く。
そんな蝶は、外界に戻るとかろうじて人であった時の事を思い出す。
その記憶の残滓が、触れた誰かから噂として広まるのだ。

そして、新たに興味を惹かれた人がやってくる。
書庫はそうして人を呼び寄せるのだという。

『書の牢獄』
それは、あらゆる知識の宝庫―――
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